友人のお墓参りを済ませて、
ランチの約束してたので、友人のご主人が運転する、ジャガーの後部座席に座らせてもらつた。
一流のものしかコレクションしないご主人の、
愛用のジャガー。
深いグリーン色が高級感を際立たせる。
25年経つと、ビンテージとか。
上六の近鉄デパートまで。
友人は二人で、毎週、このデパートに買い物に来ていた。
最上階にある、レストラン。
12月になって、いつも空いているという駐車場が混んでたので、ラストランも混んでいるかと思ったら、中華の店が、空いてた。
あとで、そこは銀座アスターだったと知った。
味もわからないままに
食べていた。
友人と3人では会うことはあっても、二人だけで会って話をするのは、意識しなくても、気を使っている。
気配りのないわたしが、最初はビール注いだけど、あとは、手酌まかせ。
ノンアルコールだけど。
古文書の研究に、熱心だったので、
時間がたっぷりある今、続けているのかと聞いたら、友人が亡くなって、やらなくなったという。
調べたものを、あれこれ、聞かせる相手がいなくなると、気が失せた、
奥さんの代わりにはならないけど、
ランチ食べながら、ひとしきり話の聞き役に回った。
コレクションで囲まれた部屋で、どこにも行かなくても、ここにいれば、海外に行ったも同然と言っていたけれど、パートナーがいなくなると、それも虚しい。
来年、また、来てください。電話するから。
ええ、伺います。
二月が来れば、一周忌。
もう涙が出ないと思ってたのに、お墓の前に立つと、寂しさが募る。
眼頭があつくなり、泣いてしまった。
ご主人と別れて、友人の家に向かう途中、
胃が痛いのに気付く。
食べすぎたかな。
一人だったら、残しても気にしないのに、
何食べてるかわからないまま、残さずに食べていた。
胃のなかに、ごろっとしたものが入っている感じ。
疲れを感じる。
ダメだなあ。
人慣れしてないから。
今、忘年会を開いている友人は、明日、入院する。
肺がんの手術を控えて。
簡単な手術で済むようだけど、手術は、手術。
バイタリティのある人で、何度もくくり抜け、勝ってきた。
私だったら、とてもそんな気にならない。
忘れていたい気持ちはあっても、その辺りを掃除するくらいが関の山。
気管支喘息で、咳き込むばかりのわたしを、心配して、あれが良いとか、これが効くよ、とアドバイスしてくれた友人。
わたしは長生きするわ、どいつもご主人が亡くなった後の、身の振り方を思案していた友人。
すぐに寝入って、朝まで起きないと言って、一見呑気そうだけど、慎重さにかけては、恐ろしいほど、
神経質だった友人が、
手遅れの癌に気づかなかった。
何が良くて何が悪いかなんて、わからない。
それぞれに咲いた花の命の長さは、偶然か、必然か、違っている。