今年のカンナ映画祭のオープニング上映された、
是枝監督作品。
カトリーヌドヌーブ、ジュリエットビノシエなど、
フランスを代表する女優に、演技派の重鎮、英国のアクターなど、
顔をよく知ってる俳優が、演技に火花を散らす作品
だけど、個性が強すぎて、しかも、是枝作品の、日本的な自然と人間の静かで、曖昧さ、寛容さの特徴的な良さが、ほとんど表現されなくて、フランス映画の精神分析を基盤にした人間の心理的深さも、表現しきれなくて、失敗作ではないかと思われる。
是枝監督自身も、役者達と、心理的なズレを埋めることができないままに、カンヌへの、オマージュで、お返しした、というところかもしれない。
最後の10分間あたりは、終わりよければ、という感じで、後味の悪さは残らない。
カトリーヌドナーはが、映画の最後に、
バラの冬が好き。空が青くて。
というセリフ。
先日、バリからの便りで。スモッグがなくなって、空気が爽やか、青空が戻ってきました、と聞いていたので、心に残つた。
母と娘の、心理的葛藤を描いた作品は、西洋映画に、秀作がある。
是枝監督作品の良さは、出演者の自然に作品に溶け込むことにあるように思う。
話は飛ぶが、
マルグリットデュラスの映画作りを。是枝監督が取り入れていれば、きっといい映画になったのではないか、と思う。
静かさ、自然。沈黙、空間。間。
これらが、心理や葛藤。愛を表現するのに大事だということに。
フランス映画の場合は、特に。
是枝監督作品は、そういうことに精通しているはずなんだけど。