電話がかかってきた。
親の家が競売にかけられるので、入札してもらえないだろうか。
母と仲の良かった、妹の 娘さんからの電話。
叔母が亡くなってから、親の家を巡って、兄妹の意向が合わず、
放置状態だった。
話しを聞いているうちに、従姉妹の気持ちに変化が生じて、
納得が行くような口調に変わって行った。
ずっと以前に、弟が、１０００万を分割で払うと言っていた時もあった
が、信用できなかった。あの時に同意しておけば良かったのかも。
競売にかけるようになって、彼女は分割で、競売にかけられるお金の半分を
払いたい、と言っても、信用できないと断られた、と。
競売の値を聞いて、それなら、いい値段だと思う。
私の家の裏のお家が、解体を終わったよう。安い金額で売れた。
従姉妹は、両親が住んでいた家に執着するのだけど、私は、
壊して、更地にする方が、気持ちが楽になると思う。
親の願いは、子供が幸せに生きてくれること。
仲違いせずに、思い合って、仲良く暮してくれることだと言った。
長い間、諍いの種になっていた家。
売れる金額にこだわるよりも、もっと大事なことは、精神的に解放されること。
過去に捉われず、今の生活を楽しく生きることが、大事。
それが親の喜びだと思う。
半分入ってきたら、好きな音楽を聴きに行ったり、娘さんや孫と旅行したり、
楽しみに使ったら？
娘さんが二人いて、孫もいて、本当によかったわね。
娘は親思いで、優しいでしょ。
息子はダメ。お嫁さんの言いなり。
私は一人ぽっち。亡くなっても白骨。
年金生活者はインフレで、生活が大変みたい。
若い人達も四苦八苦。
弟さん、いくつになったの？
65歳。私が68歳。
え。そんなに？
じゃ、なおさら、これからの貴重な時間を楽しまなくちゃ。
従姉妹は、子供の頃からピアノを習っていて、弾いている、という話になって、
私も五年目。ひどく下手だけど。
従姉妹はますますポジティブに。
意識が変わると、不幸だと思っていた悩みが、未来への楽しみの糧に
なる。
早く片付けて、弟さんとの諍いも無くなって、またお互いに思いやれる
ようになることを願っている。
今日は一つ良いことしたな、と私も爽やか。
