青空に白い雲が流れるように

読んでくださるあなたに。小さな幸せを感じてほしい。そして私も、読んでくださることで、一人じゃない幸せを感じていたい。そんな思いで、あらゆる垣根を持たないて、好奇心のおもむくままに、手を走らせていたい。明日への小さな幸せを求めて。

禁酒

 

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先日、夜中に施設に車で走って以来、禁酒している。

持ち直して、元に戻っているけれど、いつお呼びがかかるか、

と思うと、お酒が飲めない。

友人のお母さんが亡くなられた。

人間も動物も、最後は食べなくなる。

これは自然な老衰の現象。

 

母は、流動に近い食事になってからも、しっかり食べていた。

介助してもらう人のために、食べなければ、と気遣って。

喉の力が弱って、よく、肺に入りそうになると、

すごい力で咳き込むので、誤嚥性肺炎にはならずにきた

が、先日はポカリスエットが肺に入って、誤嚥性肺炎の兆候。

抗生物質で熱も下がって、肺機能も正常に。

2年前から、時に覚悟し、また安堵したり。

 

でも確実に弱っていくのは確か。

栄養はほとんど取れていない状態で、2年。

ネルギーの使い方が上手なのだと、医者に言われた。

先日も医者様との相談でも、

母は穏やかに最後を迎えられると思います、と言われた。

母は、好き嫌いなく、なんでも食べる。

もったいなからと、残さず食べる。

小さな身体で、と、寿司屋が感心していた。

胃袋が大きいのよ、と母は嬉しそうに笑った。

母は、いつも明るく、お茶目で、自分は常に、二の次、

目立たず、控えめで、人のために生きてきた。

施設で働く人達が、母に癒されると言われる。

母の怒った顔を見たことがない。

いつもにこやかな笑顔。

貧しかった子供時代を体験しているので、

子供や孫、親戚の子供達にも、何か買ってあげくて、

気前がよかった。

買って欲しそうにする人の気持ちになって、

欲しくないものも買っていた。

沢山の絵を買ったのも、そういう気持ちから。

店員に勧められると、似合わないと内心思っても、

買ってくる。

高額の絵も。宝石も。

自分がつけるためではなく。

最高の愛は、慈悲の心だと仏教で言われる。

慈悲とお布施。

母は、人に慈悲と布施を行ってきたのだと、

書きながらわかる。

母は、金のないのは首がないのと一緒、と言っていた。

株は、母の生きがいで、子供の頃は、短波放送がうるさくて、

嫌いだった。

母はお金が目的ではなく、お金を、人に慈悲と布施をするために、

作っていたのだ。

喜ばせたい、幸せにしてあげたい、という思いから。

着飾ることもなく、宝石も身に付けず、贅沢はなく、好き嫌いなく、何でも食べて、

睡眠は少なく、女中のように、小姑から意地悪されながらも、祖父と小姑と諍いを起こすことなく、

シンデレラのようだと、子供の頃、可哀想で仕方なかった母。

祖父と小姑、家族の煩わしさを避けて、、毎夜、出かける父。

父が家にいるようになったのは、叔母たちが嫁いで家を出てから。

私はわかってなかった。

世界中を探しても、母のような素晴らしい人はいない、最高の嫁さんだと

父は言っていた。

よく言うよ、と思ってた。

 

 

そう、本当にそうだね。

父が存命なら、言ってあげられる。

母はいつも笑顔だった。

優しい人、だという印象が、母と関わった人達

に残っている。

パリの従姉妹も、

叔母さんは、いつもニコニコして、気前良くて、

親切にしてもらった、記憶しかない、と言う。

素晴らしい母親に、不出来な娘。

 

母は、何か欲しいものない?買ってあげる、と言うのが

癖だった。

 

私にも、最近、その癖が少し移っている。

私は母からあまりにも多く、無償の愛をもらっている。

母が亡くなることに、耐えられそうもない。

 

母親と娘は軋轢の多い人がいる、

そういう人は、それほどの悲しみに陥らなくて、水

に流して、記憶になっていく。