外食ができなくなると、
テークアウトができる店が増えている。
人気のラーメン店が、持ち帰りサービスを始めて、車で買いに来た人達がテレビに映された。
スープを入れるお鍋を持参する。
それを知らずに、やってきた人は。近くのコンビニで、ペットボトルを買って来た。
車で30ぷんかけてやってきたカップルは、二人で、鍋とラーメンを持って帰って行った。
あの店の味が家で楽しめて、満足で笑顔のカップル。
わたしは、この光景から、父を思い出した。
四国うどんができて、父はその店の、肉わかめうどんが好きだった。
時々、夜に、車を運転して、四国うどんに行った。
夜に出かけるのは面倒な父のために、
鍋を持って、持ち帰りを店に頼む。
家でテレビをみながら、肉うどんを待っていた父の、笑顔が目に浮かぶ。
肉を甘辛く煮て、戻したワカメが乗っているシンプルなおうどん。
腰のある歯応えの良いうどん。
結婚して、近くに食べ物屋さんがなくて、四国うどんを真似て、おうどんといえば。肉ワカメうどんを作った。
別れた主人は、大のうどん好き。
付き合っていた頃、車を運転してくれるのは彼。
わたしはお鍋を持って。
ラーメン屋さんのテークアウト。
暖かくて、スープの良い匂。
早く帰って、食べたい。二人の心は一つになっているに違いない。
若いって良いなあ。
遠い記憶が。父の面影と一緒に浮かんでくる。