国境なき医師団に参加して、僻地を転々とした後で、スリランカに居を構えた夫婦がいる。
ドイツにちいさなアパートを二軒持っていて、ひとつは貸している。
夏に帰るために、置いていたアパートの方を、処分するという。
二箇所を住まいにしている人は多いけれど、
経済的な理由から、一箇所にまとめなくては、と決心した。
アパートを売って、キャンピングカーを買おうと思う、という。
わたしは映画の中で、そういう暮らしをしている人達の様子が浮かんだ。
身軽で。自由にどこにでも行けて良いわね、
返事が帰ってきた、
荷物を10分の1に減らさなければならない。
多分、愛着のあるものばかりだろう。
手放してしまうのもきつい。
ある若者は、節約のために、借りてたアパートを引き払って、実家に戻った。
荷物がなくなっていくと、ものすごく寂しい気分になって、寝られなくなった、という。
リュックひとつで、海外に出て、身軽に暮らしてきた夫婦が、ドイツに置いていた生活。
スリランカに住むようになってから、ものを捨てなくなったという。
簡単に手に入らない。輸入品にかかる関税がものすごく高い。自給自足の工夫した生活をしている。
人とものとの関係をきっちりつけないといけない、という。
重荷になっている荷物に縛られて、身動きできなくなっていた、ドイツの生活。
キャンピングカーから、ワクワクした未来が開けるだろう。