長年、調律していなかったピアノ。
ネットで、ピアノの調律と入れたら、評判の良い調律師と、値段が出ている。
大阪、兵庫に出張してもらえる調律師の中で、最も評価の高い人が、堺の人。
一時間以内の出張と書いてるので、ダメ元で申し込んだ。
電話があり、伊丹まで出張しているので、それに合わせてきてもらえることになった。
値段を聞くと、ネットに書いている通りの8000円だと言われる。
信じられない安さ。
何十年も調律していないと伝えても、その値段だと言われる。
まさか。
息子が習っていた時でも、調律に12、3千円は払っていた記憶がある。
二、三年ほっておくと、費用は高くなるとも聞いていた。
弾く人ないので、ほっていた。鍵盤の音はひどいもの。果たして出来るかな、とも。
生協のチラシで13000円から、と書いていた。、
それくらいだったら頼んでも良いと思って、念のために、相場をネットで調べたら、
堺の調律氏に出会ったわけ。
お電話での声が、誠実そうで、穏やかな紳士のようだった。
来られて見ると、予想が当たった。
ピアノを開けると、フエルトに虫が食っている。
掃除機で、まず掃除から始まった。
調律できないとギブアップされるのではないか?
長い時間をかけて、調律に四苦八苦されている模様。
音がしなくなって、階下に降りた。
二時間半はゆうにかかっている。
調律は大変だったのがわかるので、もっと請求してくださいと頼んだが、
こういう値段で引き受けてますから、と、8000円の領収書を書かれた。
普通なら2万円以上はかかると。
2万円だって、特別やすいと思うのに、お言葉に甘えて、少しだけと言って、
1万円渡した。ケチも良いとこだと我ながら。
そのかわり、これからの調律をお願いすることにした。
一年後でも良いが、弦を一杯に張っているので、早く音が狂うかもしれないと言われる。
音が少し狂っていても、わからないけれど、せっかくここまで苦労して音を出してもらったので、
アドバイスに従って、六ヶ月後に来てもらうようにお願いした。
買った当時、カワイで一番安いピアノだった。
輸出用に駒がない。
音は良いですよ、と調律師に褒めてもらった。
母のマンションに、タテ型のグランドピアノに匹敵するピアノが放置されている。
私が息子の出産で入院していた時、退院の日で、主人の母親は朝から来ていた。
私に母が迎えに来てくれるはずなのに、午後になっても来ない。
お姑さんは、気の短い人なので、申し訳なくて、私が気が気ではない。
夕方になって、母は妹とやって来た。
妹のためにピアノを選んでいたそう。
そのピアノが、母のマンションに置かれている。
結婚して狭いから置き場所がないと置いて行ったピアノ。
子供にピアノを習わせるようになって、母は新しいピアノを買ってあげた。
孫がピアノを習うようになると、それぞれに3台買った。
母は4台ものピアノを買った。
高級なピアノは、誰も続かず、どのピアノも物置がわり。
誰も、音楽の好きな母にピアノを弾いて聞かせることもなく。
ボストンのホテルで、息子がピアノを弾いていた。
母を連れて、息子の大学卒業式に出た時のこと。
母の幸せそうな笑顔が目に浮かぶ。
日本のピアノは、ピアノ売ってちょうだい、のコマーシャルじゃないけど、
手放す家が多い。
中古のピアノは中国にどんどん売れているとか。
中国から、いずれ、著名な音楽家やピアニストがたくさん生まれるだろう。
貧しさを知っている人には、中古でも高価なピアノ。
日本が捨てていったものを生き返らせて、花を咲かせるのは、
中国。
13億の中国の発展と、少子化の日本の衰退。