三月大歌舞伎は、玉三郎と仁左衛門の夢のような共演が見られます。
やってきました、東京に。
楽しみにしていた、三月歌舞伎。
気合いを入れて、チケットも、前から二番目のまんなかよりの、端席を買いました。
夜の部で、玉三郎と仁左衛門は、最初の、於染久松色読うりと、神田祭の二作に共演しています。
於染で、悪巧みのヤクザ風の夫婦役。
息がぴったり。楽しんで役を演じているような余裕のある舞台。
仁左衛門のお得意とする、凄みゴン太でも、弱さもある、 役所。
玉三郎と仁左衛門が、金目当てで、ゆすりの大見得を交代に演じるのが面白くて。
全体として、わたしは笑ってしまう。一転、
神田川は、舞踊です。
いなせな若衆と恋仲の芸者。
華やかな舞台です。
最後に花道で、仲の良いところを見せながら、舞台の観客席に何度も挨拶。
デレデレのアツアツぶりを楽しませてもらいました。
残念なのは、どちらも、時間が短いこと。
あっという間に終わってしまう。
最後の演目は、玉三郎の演出で、壱太郎が、滝の白糸を演ずる、泉鏡花の悲恋物語。
滝の白糸。
玉三郎の演出らしく、幕から始まる。馬の響きと、照明がくらくなつて、幕が開くと、茶屋の場。
二幕めに、白糸の劇中舞台。
水芸が、どうしてできているのか不思議です。舞台がよく見えるのに、仕掛けが全くわかりません。
男衆の髪の中からも、噴水が出てくる。
とてもよくできていて、水芸も本物。
最後の、裁判の場では、後姿の壱太郎が、身のこなしが綺麗で、玉三郎がきっと、とても重視した場面だと思います。
仕送りを続けてきた、心の恋人が、金沢裁判所の検事代理で、裁判に出ています。
三年ぶりに見る愛しい人。
仕送りの相手を明かさず、嘘をつき続ける白糸に、
真実を言うように説得する。
ついに、白糸は、殺人を認める、やりました、と告白。
提訴すると言って、部屋を出て行くと、白糸は、舌を噛んで、倒れます。部屋の外で、ピストルの音が響く。
感動的なシーン。
泣いてしまいました。
最後の舞台が長くて、がっかりしていたファンも多いと思います。
わたしも。
でも、舞台を観終わって、良い舞台だったと、惜しみない拍手を送りました。
玉三郎の演出は、やはり良かった。
観客をぐっと惹きつける。
ちなみに、元アナウンサーの、下重暁子さんが、きていました。
わたしも前を出ていかれるのが見えて。