ブルーレーディスクを空けようと思い、コピーしておくほどもないドラマだから、と、見だしたら、面白くて、夜中まで離れられずに、一気見。
竹脇無我と栗原小巻の、二人の世界が展開して行く。
運命的出会いを果たした若い二人。
初めて出会って5日で、結婚を考えるようになる。
実家の隣屋にも、見合いして7日目に結婚した人達がいた。
女手に困っていた、大家族の元にやってきたお嫁さんは、一目惚れだったようで、
オシドリ夫婦だった。
話が逸れた。
二人の世界、では、山手のお嬢さんと、田舎出の、東京の大学に行かせてもらい、商社の営業で頑張っている、次男坊。
二人の決意は固く、親も折れて、結婚する。
新婚旅行から帰る頃には、育った環境で、価値観の違いから、小さな喧嘩を始める。夫は、帰りが遅く、妻は寂しさを抑えている。
大きなプロジェクトで、頑張っていた夫は、上役の失態で、仕事を取れなかったのだが、その責任を負わされて、チームを組んでいた友人と、左遷され、総務にやられることになる。
相棒は、会社を辞めて、自分がやりたい作曲の道に進むと熱く語る。
総務に行き、毎日単調な事務仕事を我慢している夫が、妻には無理に明るく振る舞うので、
それが妻には耐えられない。
愚痴を分け合いたい、苦しい時は力になりたい。
ある日、屋台の親父から聞いた、体験に触発されて、独立を決心する。
勤め人だった親父は、たとえ屋台でも、自分らしく生きられる、自由を選んで後悔のない生活を得た。
あなたは、顔も良いし、人に好かれるようだから、スナックなんかが向いてるだろう。
勤め始めて4年。資金は、わずかな、退職金だけ。
田舎の兄に、借金を申し込みに行く。大学に行けずに、両親を引き受けて、犠牲になっているように不満のある兄は、こっぴどく弟に怒りをぶつける。とんでもない甘えだと。
両親は、貯めた貯金を貸すのだから、利子は3分という条件を出して、200万貸す。
怒っていた兄は、翌日弟が帰る時、送ると言って出てくる。
出せるお金は50万しかないが、返さなくても良いと。
兄弟の暖かい思いやりのあった時代は、それほど遠い昔ではない。
娘を応援したい父親は、娘から働きたいと頼まれて、下請けの関係工場に、就職を依頼してくれる。
会社に勤めながら、スナック業の学校に行く夫。
学校を出た夫は、会社を辞めて、スナックで働いて、ノウハウを勉強。
借りる店を探して、資金不足で妥協しようとする二人に、妻の父親が、100万出したいという。
父親も、独立して、店でも出そうかと思ったことがある。一緒に乗らせてほしい。夢を見たいと。
スナックを始めたら、朝から夜遅くまで、大変な労働。
近くにできたスナックは、賑わっている。
二人が初めて会った夜に行ったレストランのシェフに、店で出す美味しい料理を教えて欲しいと頼む。
カレーとハンバーガーランチの二品。
味が評判になり、店は繁盛し始める。口コミで、客が増え、小さな店では足りなくてなると思われた頃、妻は妊娠する。
人手に困っている夫婦に、レストランのシェフが申し出る。
一流レストランから引き抜きがある。若い頃なら、すぐに移っただろう。
だが、子供達は独立して、それなりに自立して自分は必要ない。
蓄えもあり、給料は5万で、雇ってもらえないか。いや、もっと少なくても良い。
もう一度、やりがいのある人生に乗り出してみたい。あなた達と店を大きくしていきたい。
気軽な店で、美味しいものを出し、喜ばれる店。
妻の母親も、スナックのキッチンを手伝い、生き生きしている。
妻の父親は、田舎から出てきた夫の両親に言う。
わがままで、何もできないと思っていた娘が、良く頑張るなあ、と感心します。
一人ではできないことが、二人なら強くなるものですねえ。
そんなに昔ではない。
昭和と呼ばれた時代には、若い二人が結婚して、二人三脚で、未来に希望を持って生きていた。
灯台守の夫婦の、喜びも悲しみもいく年月、は、市井でも、同じだった。
貧しくても、子供を産み、育て、なんとかやりくりしながら、二人の世界を生きてきた。
わずかな時間の間に、すっかり変わってしまった。
男と女が性欲を満たす方法が安易にいくらでもある、というのが、結婚しない若者を増やしている。
二人の世界は、一瞬の情熱で終始するようになった。
未来に希望を抱かなくなった。
夫が死ねば、関係を解消する妻が多くなっている。
夫婦二人だけの世界だから、親との縁切りは当然だと
東京物語、が、世界的に絶賛されたのは、
原節子扮する、次男の妻の、夫を忘れられない愛と、夫の老いた両親に対する真心の美しさだと、私は思う。
子供達 が、利己的で自分達の生活で精一杯な生活は、誰の目にも、現実の世界なのだけど、
感動し、心が求めているのは、原節子の夫の両親への暖かさ、人間としての真心なのだ。
夫を亡くし、そのおも影を大切にしながら、一人孤独に生きている、嫁の優しさに涙する姑。
両親が故郷に帰り、長く連れ添った老妻が亡くなる。
会社勤めの嫁は、ギリギリの休める日まで、老父に寄り添う。
ばあさんの形見に、と老妻が大切に肌身放さずつけていた時計を嫁に渡す。
時間は過ぎて行く。時間とともに、人間の生き方も変わって行く。
けれど、変わらないものがある、時間が止まったまま変わらないものがある。
人の美しい魂。人を愛し、愛おしむ心。優しさ。人間が持っている、かけがえのない時間。
玉置浩二の歌に、良い文句がある。
幸せになるために生まれてきたのだから、好きな人と一緒にいなさい。
大切なことなんかわかっているのだから
好きなことをやっていきなさい
この単純な言葉のようにできない人があまりにも多くて、幸せを感じられない人が
あまりにも多いのではないだろうか。