長い間、足を運ばなかった、有馬のグランリゾートに行った。
大倉が主催している、リゾートホテルの中で、近くにあるので、母がまだ元気だった頃、よく行った。
お風呂が大好きなお母さん。
今は、有料の老人ホームで、週に二度、カラスの行水程度のお風呂に入れてもらっている。
母が行けなくなって、わたしは一人では行く気になれなかった。
西宮芸術劇場で、関学グリークラブの演奏会があって、その後、有馬に泊まりたいという友人から肩を押されて、久しぶりに、予約した。
友人は、プリンセス有馬に宿泊したことがあったので、それを思い出したらしい。
予約すると、プリンセス有馬は満室で、キャンセルがあれば変えて欲しいと頼んでいたが、
やはり空きはなかった。
ベッドが良いだろうと、和洋室を取ってもらっていた。
グリークラブの演奏会が終わるのが6時になる。
それではホテルの夕食に間に合わないので、途中で出て、車で有馬に。
長く温泉に入ってないと、温泉の効能が実感される。
温泉に浸かると、皮膚を通して、染み込んで来る感じ。
普通のお湯と全く違う。
貼り薬が、痛みを抑えてくれる効果や、傷を治すように、温泉の効能は効果があるのだと実感出来るような気がした。
随分昔のことになるが、有馬に太閤の湯という名前じゃなかった頃、有馬ヘルスセンター、という名前だった頃、毎日通って来るという人が、この温泉に入らないと身体がもたないのだと言っていた。
ホテルで働く中居さんは、有馬の湯に入っているので、風邪は引かないし、病気にもならない、と言っていた。
その意味が、久しぶりに浸かる温泉から、わかるような気がした。
母は、時々、一人で、バスに乗って、有馬ヘルスセンターだった頃、通っていた。
有馬までの、バスの回数けんの未使用が残っている。
でも、まだ元気だった。
あれから、何年経っただろうか。
私が旅に出るたびに、梅田のバス停まで、送ってくれた母。
その姿が、今も鮮やかに私の眼に映る。