階下の和室が、唯一の客間。
息子たちが帰ってきた時も、友人が泊まる時も、
母がうちに来て滞在していた時と、この和室が使われる。
震災で、全壊した家は、立派な雪見障子が入っていて、わたしの好みだった。
予算を抑えて、建て直した家は、出来るだけシンプルで、余分な費用をかけずに、地震対策だけはしっかりしてほしいという要望を出して出来た家。
床の間も無くなって、障子は、味気ない普通のもの。
破れないように気をつけて使っていたが、ついに、さんのところが薄く破れが。
障子を張り替えないともうダメだ。
実家では、沢山の障子があり、毎年、年の暮れは
障子の張り替えを手伝わされた。
冬の冷たい水で、障子を洗つて、乾いてから、ノリヘラで、さんにノリ付けして、あらかじめ寸法を測ってかつてある、障子紙を貼って、霧吹きをかける。
乾いたら、やれていた紙がピンとはる。
障子の張り替え前は、楽しい。
指で穴を開けたりして、好きなように敗る。
家族の笑い声。
畳も外に出して、パンパンと叩く。
力任せにバンバン叩く。
我が家は、暮れの大掃除は、女達の仕事で、父は、
邪魔にならないようにかどうか、映画館に行くか、友人の家に遊びに行っていた。
旅行好きな祖父は、旅行に出かけることが多かった。
障子は、貼ろうと思えば、自分で貼れるのだけど、
その前の作業が嫌で、張り替えを頼むことにした。
ネットは便利なもので、値段の競争になっている。
全国対応で、初めての張り替えが、一番安い、1400円というところに電話した。
今は忙しい時期らしい。
三日後の、朝一で見積もりに来てくれた。
1400円というのは、普通のサイズで、うちのは、2メートル以上の別注品になるので、2100円からだそう。小さいほうは、1400円出てきます。
うちの障子は、ビニールが入って丈夫な紙なので、一枚が5000円以上。
ビニールの破れないというものは8000円。
へー、そんなに違うのか。
お試しに一番安いのにされますか?
比べると、薄そう。
次の分厚い紙だと3600円。
一番安い、宣伝用の紙に決めた。お試しで良い。
それでも、使い方によったら、二、三年持ちます、と言われた。
障子を取り外しながら、これ、随分綺麗に使われましたね。10年くらいですか?
というので、まあ、と曖昧に答える。
20年近く、なんて、恥ずかしくて言えない。
雨戸を閉めていることがほとんどだから、焼けずに綺麗なのだ。
期待してなかったが、出来上がって来た障子は、それほど薄い感じもなく、普通の障子紙のように見える。
ビニールが入ってなくて、最高の薄さだから、気をつけて、ものを当てないようにしないと。
すぐに破れる、デリケートな障子。
最低のにしたら、随分安い。
二度来てもらって、張り替えまでしてもらって、料金は、7600円。
どんな便利屋さんや、シルバー人材センターでも、こんなに安くないと思う。
まだ、綺麗に乾いてませんから、とのこと。
すごく混んでいるので、出来上がりを持って来ているからと言われた。
畳はまだ綺麗だし、襖も綺麗なので、頼む仕事がないのが気の毒な気がする。
これは宣伝用のウルトラバーゲン。
ネットは、激戦区。