朝、滅多に乗らないバス停に、人が待ってあるので、すぐくるようだし、荷物も重いので、吸い寄せられるようにバス停に。
ブーツを履いていたこと、雨が降りそうだったこともあって。
素敵な老婦人。
黒いベレーが良く似合っている。
雨降り出しましたね。
と自然に声かけた。
赤い革靴と、柄物のバッグ。
決まっている。
なんとなく、話しているうちに、
坂道の町から、わたしが、
ポルトガルのコインブラに行った時に、
大学の近くにある教会で、ミサが終わると、
年老いたシスターの姉妹が、寄り添うように、
坂道をあがって行った光景をみて、
わたしも頑張らなくちゃ、と思つた話をすると、
その夫人は、外国人は、身体が違うということから、海外におられたのですか、と聞いた。
4、5年。
バイデルベルグで、教師だったと言われる。
ハイデルベルグだったら、長く住んでいた友人がいて、絵を描いているというと、共通の友人を通じて。
個展に行かれて、二枚買ったと言われる。
友人から、知り合いがいることは聞いていたけれど、その方だったとは。
雨の話から、偶然に、人間関係の糸が繋がっていたということまで。
海外で生活してた、人は、どこか独特な雰囲気があって、服のセンスも違う。
別れて、駅に。
すると、滅多に会わない友人が、手を振っている。
これから、ボランティアだそう。
ご主人が亡くなってから、演劇に参加するようになって、ボランティアの朗読も初めて、
とても元気になった。
歳の離れたご主人を見送って、莫大なら遺産を相続したものの、半年くらい、見る影もなく弱り切っていた。毎日、泣き暮らしていた。
どんな苦しみや辛さも、時間が、癒してくれる。
ラマンチャの男を、見てきたの。
宝塚歌劇も。
観たいものが一杯。
絶望に打ちのめされて、もう立ち上がらない、希望がない、と思っても、ひとは、生きながらえるものだと、マルグリットデュラスは、書いている。
その言葉が、浮かんできた。