スペイン、アカデミー賞最多、5部門を受賞。
しばらく会わなかった友人、フリアン、カナダから、マドリッドに会いにきた友人トマスは、2人の子供と愛妻がいて、充実した暮らし。
フリアンは、恋愛の達人と自負する、有名な俳優で、癌の末期、余命いくばくもない状態。
愛犬の老犬トルーマンと暮らしている。
医者が勧める、延命治療に無駄なお金はかけられないと、トマスの同席する前で、きっぱりと断る。
トマスは、彼に少しでも長く生きる道を選択してほしいと思いつつ、説教の嫌いなフリアンから、帰れと言われ、4日間は、帰らない、と反論。
トマスは長くは滞在できない。4日間の休暇を、フリアンがしたいことをさせてあげようと決断する。
お金は山ほどあると言うトマス。
昔の2人にもどり、トマスは、フリアンを黙ってみもりながら、フリアンに寄り添うトマス。
病院で、治療を断り、葬儀社に連れていかれて、葬儀社に請求書は、自分に送ってくれるように言う。犬の里親を探し、息子に会いに、アムステルダムまで、日帰りの旅。費用は全てトマス。
2人と老犬トルーマンとの、幸せを追求した特別な時間。
フリアンは、従姉妹から、トマスに生き方を学びなさいと言われているが、自分からは悪いことしか教えなかったと言うが、トマスは言う。
君から学んだのは、決して逃げ出さない勇気。
直面して、現実と向き合い。それを受け入れ、人生を楽しむこと、人間らしく生き、きっぱりと死んでいく覚悟。
フリアンは、トマスと従姉妹に言う。
薬を飲んで与えられた時間よりも少し早く死ぬつもりだと。垂れ流しの世話をしてもらいたくない。
最後を看取ると、トマスは言うけれど、最後の別れになることはわかっている。
2人が元気だつたころ、自由奔放で人に意見を言われることの嫌いなフリアンと真面目で慎重、おとなしいトマス。
フリアンの覚悟の言葉に、苦しみと辛さで家を飛び出した従姉妹が。忘れ物だと言って戻ってくる。
激しい性格のフリアンの従姉妹は、トマスに、ホテルに泊まっても良いかと誘う。
良いよ。
トマスの初めての勇気と決断。
2人は悲しみを分け合うように激しく抱き合う。
翌日、トマスがカナダに帰る日、フリアンは、愛犬を連れてホテルにやつてくる。
空港までは送らないと言っていたフリアンは、飛行場への車の中で、愛犬をトマスに託す。
トマスが置いて行ったお金で、愛犬の飛行機を手配し、あらゆる書類も用意していた。
愛犬の里親は、トマスしかいない。愛する存在を、唯一愛してくれる友人のトマスに。
スペインらしい、ラテン的なおおらかさとユーモアを忘れない作品。
幸せな時間は、生きながらえることではなく、
充実した日を、楽しく送ること。
ここの人間に与えられた、時間は、本当に幸せな時間は短い。
生きる意味を私たちに問う作品であり、スペイン人は、あのような友情が存在するのかと、心が熱くなる。