今年も、村上春樹はノーベル賞を取れなかった。
村上春樹ファンには申し訳ないが、ノーベル賞の対象ではないと思う。
あまり騒がれているので、いくつかの作品を読んでみたが、文芸の価値よりも、大衆小説としての価値の方が高い。
読みやすくて、想像力を喚起することよりも、村上春樹が、自らの想像力を文章化しているので、読者は、村上春樹の世界に共感する人が多いという現象が、ノーベル賞を村上春樹に期待している。
ヒューマニズムは、ノーベル賞には、基本的に欠かせない要素で、さらに加えて、人間存在の哲学と美学が要求される。
そのどちらにも、村上春樹の作品が対象となるだろうか?
ヘミングウェイや、フイツツジェラルドなどの翻訳から、小説家として、ノルウエーの森、でブレイクした。
大衆のちょっとした知識を喚起する小説として、精神分析を使って、どれもスマートでおしゃれな作品だというのが、私の感想。
日本の作家として、ノーベル賞の対象になった、三島由紀夫、川端康成、大江健三郎の作品とは、大きな隔たりがある。
宮本輝がノーベル賞の対象にならないのと同じ。
村上春樹が世界的に売れていても、それは変わらない。