東京への往復で、飛行機に乗る楽しみがある。
翼の王国に連載されている、伊集院静の、旅のガラクタ、というエッセイを読むこと。
今月は.ドーブイルのまて貝、からのエピソード。
伊集院静の、エッセーは、読みやすくて、心に暖かい火がともる。
こんなエッセーを書きたいと思う。
これらのエッセーを通して、わたしは伊集院静という人物が好きになった。
若き頃、長年冬の、ドーブイルに毎年通ったエピソードが書かれている。
一年間、せっせと働き、残ったお金を持って、ドオービルに行き、カジノに通った。
ドオービルに、毎年行くようになったのは、そこでカジノを仕切っていた男性と親しくなり、時には奥さんと三人で、の交友があつたから。
ある日、訃報が届いた。
丘の上のお墓に参り、レストランで、一人、ムール貝とマテ貝で飲んだ。
マテ貝を見ていると、綺麗な殻だなと声がでた。
その殻、カラ、空の響きで、もう二度とこの街を訪れることはないだろうと思った。いくら負けたって。そんなことはどうでも良い。スツ殻カンである。
伊集院静は、気にいると、毎年、その地を訪れている。
旅の楽しみは、人との出会いだけど、わたしは、毎年来るとおもいつつ、それが一期一会に。
ポルトガルのアルファマで、毎夜通ったファドカフェ。
楽しかった。人の優しさが心に残っている。
すぐに来るよ、と言いながら、もう何年も経つ。
あのファドで、今夜も、仕事帰りに歌いにきているだろうか?
タクシードライバーのファド歌手は、元気に歌っているだろうか?
伊集院静は、宵越しの金は持たないタイプ。
不良が良い。
フットワークの軽さが良い。
そうして、彼のアドバイスは、沢山の体験から得た、余計なものを全て捨ててきた、潔良いもの。
人間のスペシャリスト。