師走の歌舞伎座は、玉三郎が、夜の部、三部に出演している。
中車とのコンビで、瞼の母に、母親の役で。
番場の忠太郎は、中車が熱演。
玉三郎の美しさは、次の舞台、楊貴妃。
ヤクザの忠太郎が、9つで亡くなったと思っていた、忠太郎だとは思えずに、冷たくあしらう気の強い母親役の玉三郎は、お歯黒で、まゆを落としている老け役。
私は玉三郎を間近に見たくて、まえから二番目の真ん中の席を買っていた。
声もよく聞こえて、玉三郎がセリフを間違えかけて、つまつたのもはっきり聞き取れた。
中車の忠太郎は、演技は上手いけれど、張り切りすぎているのか、健気さ、哀れさに欠けるのが、惜しい。
娘役の梅子は、顔が大きくて長くて、玉三郎の顔が余計に小さく見えた。
楊貴妃では、中車が、方士という、老人になって、玉三郎と一緒に踊る。
日本舞踊のような動きがない。
手を差し伸べたり、歩いたりというのが多いので、まずまず見られる。
楊貴妃の玉三郎は、とても美しい。
崑崙で学んだ、崑劇風の身のこなしで、静かな動き。
舞扇をうまく使って優雅さを演出している。
伴奏は、お琴の演奏。鼓弓と笛、太鼓も入っていだと思う。
どこか、満足感はなかった。
感激もなかった。
安藤忠雄の展覧会の余韻が残っていたからか、
中車とのコンビが、盛り上がらないからか。