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11月は、歌舞伎座に来るつもりじゃなかった。
たまたま、チケットキャンプで、一等席の、しかも、前から9列目の席が、8500円、嘘みたいな安さで売り出されていたので、玉三郎のコンサートのついでに、観ることになった。
染五郎の、鯉つかみ、が観たかったので、ラッキー。
朝、たっぷり朝食を食べて、歌舞伎座に出かけた。
東京グリーンホテルは、日本テレビの隣で、周りには美味しそうな店が沢山あって、地下鉄にも便利。
歌舞伎座まで、20分で着く。
昼の部の時間表を見たら、最後の出しものは、終わりまで見られない。
鯉つかみは、最初の出し物なので、これさえ見られたら良い。
前から9列目の席は、最高。
隣の女性は、歌舞伎はまだ始めたばかり。
一人で自由に出られるようになつたので、とのこと。
前の二人が前のめりになっていて、その人は前の人に注意していた。
二人は、わたしと同じく、招待券。
チキケンで買ったものに違いない。
始めてだとのことで、隣の人に後でそんな話をしていたらしい。
買ったチケットを見て、非売品の招待券だとわかった。
普通は転売禁止のチケット。
だから、安かった。買ってから、後でわかったのだけど、前の席もあった。二枚でないと買えない席だった。もっと安かった。
11月の歌舞伎座のチケットは、沢山出ている。人気がないのだろう。
染五郎の、鯉つかみ、は、とても良かった。
早変わりも見事。
流石に、ラスベガスに持ち込んで、ミラージュの噴水を使って、上演しただけあって、素晴らしく、楽しませてもらった。
ラスベガスに見に行きたいと思っていた出し物。
これを見られたのもラッキー。
愛之助が、鯉つかみ、をやつているけれど、染五郎のほうがすごい。
来年の1月2月は、白鴎、幸四郎、染五郎の三代襲名公演を、歌舞伎座で。
染五郎の最後の舞台は、鯉つかみ。福助の息子、児太郎が、相手役で、二人の踊りも息があって、良かった。
2つ目は、吉右衛門が主役を務める、奥州安達ヶ原。
雀右衛門は、親を捨てて、吉右衛門と駆け落ちし、盲目の瞽女に転落して、娘と二人、親の危機を知り、訪ねてくるが、親は娘を突き放し、会うことも叶わない。
母親は、二人の間に立ってオロオロするばかり。
吉右衛門の弟が現れ、父親を殺せと命ずる。
父親を殺せず、娘は自害する。父も切腹を命ぜられて、腹を切る。
やがて、吉右衛門が出てきて、関白に化けて、父親の死を見届ける。
対面した親子。父親にすがる幼子を振りほどこうとして、できずに、死にゆく妻と娘を抱き寄せる。
源氏の娘と平家の武将との恋の行く末を描いたお芝居。
隣の女性は、泣いていたけれど、わたしはこういう丸本物は、泣けない、
それよりも、命を軽んじる歌舞伎のお芝居には、違和感を感じる。
松王丸の場合は、寺子屋に子供をやり、主君の身代わりに死なせるものだが、親子が子供を引き取らにくる時には、下に白装束を着て現れ、子供への慈しみと情愛が出ていて、泣けるけれど。
命の大切さ、いとしさを訴えるものでないと、泣けない。
三番目の出しものは、菊五郎と時蔵で、きっぷの良い、ひょうきんな、悪役の江戸っ子芝居。
菊五郎の得意とする演技。
これは途中で出てこなくては、飛行機に間に合わないので、あとどうなったかわからない。