歯医者に通い始めて、早く4年が過ぎた。テンプレート療法を始めて3年が過ぎた。
やっと最終的な治療にかかった。
1時間半の治療を終えて、コナミは休みの日なので、映画を観た。
時間上、「網に囚われた男」という映画しかなくて、どんな映画かも知らずに。
韓国映画だった。
その後、何本かの映画を観たなかで、最も衝撃的な印象を残している映画だ。
網に囚われた魚は、殺される運命にある。
主人公の、北朝鮮に住む漁夫は、妻と娘と幸せに暮らしている。
舟網がエンジンに引っかかり、韓国側に難破する。
憎しみに囚われた韓国の検査官に、酷い暴力を受ける。心の優しい警護間との間に芽生えた信頼関係。
韓国では、亡命させようとする。非人道的な朝鮮に返すわけにはいかないと。
家族に会いたい一心で、韓国の何も見ないように目を閉じている漁夫。
韓国政府は、韓国の文明社会を体験させ、亡命を促そうとする。
一人で、街の中に放り出された漁夫は、ついに目を開けざるを得ない。
そこで遭遇した女性は、男に操られ、身を売りながら、弟を大学にやるためにお金を作っている。
韓国の何不自由ない社会で、苦しんでいる女性の不幸を知る。
テレビで、漁夫のことを知った人達からの、数々のプレゼント。
漁夫は一切いらないと拒む。街で監視されている時に、漁夫は娘のために、新しいぬいぐるみを買ってやりたくて、ウィンドウを覗いていた。
優しい警護の青年は、漁夫の人権を護ろうと必死に上司に訴え、傷ついた漁夫に薬を塗って、いたわり寄り添っていた。
彼は、漁夫のことを思って、高価なプレゼントをドルに変え、ぬいぐるみを買ってくる。
北朝鮮では、韓国に対応して、家族をテレビに出し、早く帰すように、と韓国を非難。
ついに、漁夫を北朝鮮に帰す。
船に、警護官が、ぬいぐるみを放り投げる。漁夫は、韓国で着せられた衣服を脱ぎ、北朝鮮の国旗を巻きつけて、朝鮮バンザイを叫ぶ。
戻った漁夫は、宣伝用の歓迎を受け、スパイ容疑でとらわれる。拷問に近い取り調べにあう。
漁夫はお腹が痛くなり、我慢できずにトイレに。
飲み込んだ、ビニールに包んだドルを取り出そうとして、取調官にとらわれる。お金を取られて、解放される。他言を口止めされて。
家に戻った漁夫は、恐怖にとらわれ、元の体に戻らない。幸せだった夫婦の営みもできない。
朝、漁夫は漁に出る。
禁止されていると許可しない、国境の警備かん。
船を出せば殺せと言われている。
漁夫の仕事以外に何ができる。死ねというのと同じだと答えて、漁夫は船を出す。
後ろから撃たれて倒れる漁夫。
自由経済の韓国であれ不幸な人間は沢山いる。
非人道的で、貧しい北朝鮮でも、幸せに暮らす人間がいる。
韓国と北朝鮮を分断しているのは、人間の悪と不信、金銭欲。
人間の幸せは、金銭では測れない。その欲望が、人間を堕落させ、本当に大切なもの、愛しあう人間の本質を壊している。
ショッキングでやりけれなさと、突破口のない怒りが、観るものに残る。
映画を作る側と、見せられる側が、共に考え、模索すべき希望を考えさせられる映画だ。